上の図は白雲母の結晶構造です。Alを中心とした八面体層の上下に、Siを中心としたSiO4四面体層があり、2:1型
のサンドイッチ構造を平面状に形成しています。このサンドイッチ構造が、Kイオンを介した配位結合によって幾重にも
重なっており、1層のサンドイッチ構造と上下いずれかのKイオンを合わせたものがマイカの最小単位層になります。
この単位層の厚みは1nm(1mmの百万分の1)しかありません。そして平面状のサンドイッチ構造部分と比べてKイオン
部分の結合力が弱いため、マイカは容易に薄く剥がすことができるのです。
白雲母は八面体層の陽イオンがAlですが、金雲母では陽イオンがMgで形成されるので、八面体層の数が白雲母を
2とすると金雲母は3となります。この結晶構造の違いから白雲母は2八面体型、金雲母は3八面体型と区分されます。
そして金雲母は八面体層が平面状に密に存在しますが、白雲母は1/3が空席の構造になっています。
マイカと同様の層状ケイ酸塩鉱物には、カオリン、タルク、モンモリロナイトなどがあります。モンモリロナイトのような
膨潤系鉱物は別として、非膨潤系の層状ケイ酸塩鉱物のなかで最もアスペクト比(長径/厚みの比率)の高い粉末が
得られるのはマイカと言われています。そのため、板状、鱗片状あるいはフレーク状粉体に区分される無機粉体材料
のなかでも、マイカは形状によって発現される効果が大きいのです。
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