株式会社ヤマグチマイカ
< 技術情報 > マイカとは

目次 1. マイカ(雲母)の概要
2. マイカの種類
3. 白雲母(マスコバイト)の結晶構造
4. 白雲母の物性

1. マイカ(雲母)の概要

インド産白雲母原鉱石
 マイカは、日本名で「雲母」(うんも)と呼ばれる鉱物の一種であり、英語表記
では「MICA」と記されます。マイカの粉末が光を反射してキラキラすることから、
日本では古くは「きら」、「きらら」と呼ばれることもありました。

 左の写真は天然のインド産白雲母の原鉱石で、厚みが約2センチ、幅が約50
センチもある大きなものです。現地の鉱山には、幅が1メートルを超える原石が
埋蔵していることもあります。天然鉱物の中で、これほど大きく平面方向に結晶
成長する鉱物は、他に無いでしょう。
 マイカの一番の特徴は、平面方向に成長した結晶面が層状に重なった構造をしており、なおかつ結晶面はフィルム
のような弾力性があるため、平面に薄く剥がれる性質を持つことです。そして薄く剥がしたマイカは、ハサミやカッター
ナイフで簡単に切ることができます。インド産の白雲母の場合、薄く剥がしたマイカは半透明(緑色から茶色味のある
透明)になります。その他、電気絶縁性が高い、化学的に安定している、熱的に安定しているなどの特徴があります。

 さてマイカや雲母と聞いて、皆さまは何を想像されますでしょうか?マイカが私たちの暮らしに欠かせない材料として
身の回りの様々なモノに利用されていることをご存知でしょうか?

 工業用材料としてのマイカには、板状に加工したマイカプレートと、粉末状にしたマイカパウダーがあります。
 マイカプレート利用の歴史は古く、19世紀終わり頃にマイクロホーンの振動板に使われ、その当時のマイクの性能が
飛躍的に向上して電話機の普及に役立ちました。20世紀初めには、真空管の電極保持板にガラスの代替として用い
られ、真空管の大量生産を可能にしました。マイカプレートは、耐熱性絶縁材、マイカコンデンサの誘電体、ガスコンロ
の燃焼確認窓、ボイラーの液面計窓など今でも多くの分野で活用されています。なお耐熱性絶縁材用途では、マイカ
パウダーを接着剤で板状に固めた集成マイカが、現在の主流になっています。

 一方、マイカパウダーは古来、漆喰(しっくい)壁や襖(ふすま)紙をキラキラさせる意匠目的で使われおり、文化財で
ある建築物の漆喰壁の補修に、当社製品をご注文いただくことが今でもあります。近年では、各種工業製品に優れた
物性や新しい機能を付与する粉体材料として活用されます。例えば、自動車、スマートフォン、住宅などに用いるプラ
スチックや塗料の物性を向上する機能性フィラーとして、タイヤや衛生陶器の離型剤として、あるいはファンデーション
の使用感を向上させる化粧品材料として、その用途は益々拡大しています。自動車の塗装などで真珠のような光沢を
出すパール顔料を配合しますが、パール顔料の一種であるパールマイカのベース粉体もマイカであり、マイカ粒子の
表面に屈折率の異なる酸化チタンなどの金属酸化膜を形成することでキラキラとした干渉色が得られるのです。

 下表にマイカパウダーが利用される市場分野をまとめましたので、ご参照ください。
市場分野 効果や機能
化粧品  感触向上、光沢感付与、ファンデーションのケーキング防止など
プラスチック  剛性向上、低ソリ、縦横の成形収縮率低減、耐熱性向上、制振性付与、バリア性付与など
塗料  防食、防水、耐熱性向上、下地保護性向上、ガスバリア性付与、制振性付与など
ゴム  耐熱性向上、制振性付与、ガスバリア性付与、離型剤・防着剤の性能向上など
セラミック  離型剤の性能向上、建材ボードの耐火性能向上、マシナブル性付与など
その他  ブレーキ摩擦材の性能向上、パールマイカの基材など

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